‡パルソナ‡ 孤高の唄姫
「二人ともそんなに急いでは、転びますよ。」
レイの言葉にも耳を貸さず、ノエルはあたしの手を引き、そそくさと螺旋階段を降り続けていく。
あたしはレイの方を振り返ると、レイの穏やかな笑顔が見えた。
レイの顔が少し赤いような気がするけど………気のせいだよな。
そんなレイに集中しすぎてたあたしは、またこけそうになって渋々前に向き直った。
会場に着くと、ノエルはあたしの手を離した。
「なんだよ、急に積極的になりやがって?」
「うっせぇな。俺の勝手だろ
とにかくここからはお前一人でなんとかしろ。まぁせいぜい頑張って"あいつら"の相手してやれよ」
ノエルは吐き捨てるようにそう言うと、あたしに背中を向けて歩き始めた。
「えっ、ちょっ!なんなんだよ!!"あいつら"って…」
「あらぁ、あなたが大空に選ばれし者ですのぉ!」
あたしがノエルを呼び止めようと手を伸ばした先に、突如貴婦人が目の前に現れた。
「えっ、まぁ…そうですけど…」
さすがのあたしも、貴婦人の圧力に自然と敬語になってしまう。
なんか、家の近所のパーマのおばちゃんに似てる;
「聞いてますわよぉ!旅に出られるんですってねぇ!」
「はいぃ;」
その後のあたしは長い間、その貴婦人の話を相槌を打ちながら聞くはめになる…;
それは近くのおばちゃんの愚痴を聞くよりも苦痛な物だった。
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