桃川中学校吹奏楽部

新学期テストも終わり


 
「やばい、脳死んだ」


「うちも」


菜々と葉月と喋っていると


 

綾瀬くんがみんなの視線をはずしてこういった



「昼休み屋上」


「りょーかい」


 
私と綾瀬くんが喋るたびに


栗林さんから視線を感じるのがわかる



彼女のクリッっとした大きな目にショートカットの髪の毛

 
決してモテない顔でもない


 
私はその彼女の存在感に吸い込まれそうだった

 

そして昼休み



「じゃあ、ハルに呼ばれてるからいくね」


「いってらー」


 
ふたりはそう私を見送ってくれると


 

私は屋上へと走った



キィ・・



重いドアを開けると



ハルが壁にもたれていた


「ごめん、待った?」



「いや別に」
< 168 / 209 >

この作品をシェア

pagetop