桃川中学校吹奏楽部
「なーに今更いってんのてか素直だし」
「俺いっつも心の中ではそう思ってるし」
「ほんと?」
屋上に静かに風が吹く
遠くから聞こえるグランドからの声
廊下を走る足音
でもそんなのとは別世界のように
孤立したような屋上
屋上は別に立ち入り禁止じゃないんだけど
常にあまり人がいない
たくさん階段を昇るのが面倒って人が多いけど。
「屋上最高だな」
綾瀬くんは空を見上げる
「ね、気持ちいいし」
綾瀬くんにもたれかかったところから体温が伝わってきて
遠くから綾瀬くんの心音が聞こえる気がする
こんなに自然にしてても、やっぱりドキドキしてるのは私と同じだね
「でも俺たちってマジ仲いいよな」
「そうだね、周りに比べるとね、絵梨以外で」
「だよなー、ほかの奴らはみんな1週間か1ヶ月で別れるからな」
「なんで告られて勢いで付き合うわけ?うちそこだけはわかんない」
「俺は一途だぞー、お前ひとすじだったからな。涼から奪った日の喜びはやばかった」
「うちだって、ハルに告られて、だんだん大事になってきてすきになったから付き合ったんだからねー、信じてよ」
「わかってるってそんなこと」
「てか周りって絶対俺らみたいに学校で喋ったりしないしな」
「もううちらはほぼ公認だしね」
私は笑う