桃川中学校吹奏楽部
違った
違った
栗林さんだった
栗林さんはこのごろうんとスカートも短くなって
格好も派手になってきた
近松さんと一緒にいるからかな?
ガタン
そう鈍い音がして
下を見ると
私の教科書が一冊落ちている
「お、はいよ」
すぐそばにいた伊藤が拾ってくれた
「あ、ありがとっ」
別になんの変哲もない親切だった
なのに
栗林さんがカバンをロッカーへと持っていく途中に
「・・ほんとどんな男でもそんな愛想ふるまうんだね」
「はっ?」
そうボソッと言った栗林さん
もちろん私にも伊藤にも聞こえている