桃川中学校吹奏楽部
「えっ・・でもそーいうわけじゃあ・・」

顔が熱くなるのがわかる。

左胸の奥が高鳴るのがわかる。

すきなのかもしれない けど

なんだかそれを私は認めることができない


「こないだのメトロ直してもらってから気になってんじゃないの~?」


先輩は冷やかすようにいう。


「だっ・・だから・・見てたわけじゃなくて、その・・野球部やってるなぁ・・って思って・・」


「でもさ、ゆりあちゃん朝練も午後練もずっと野球部みてるよ」


「えっ・・!」


自分でも正直びっくりした。


あたし、こんなに野球部見てたっけ・・?


「・・それが好きってことなんだよ」


先輩はそういった。



「こらぁ~まなちゃんとゆりあちゃん練習しなきゃー」


パーリーの内田先輩と2年生がきた。


「はいはーい」


東先輩はそそくさと練習にもどった。


私は倉本君に治してもらったメトロを見ながら


ロングトーンをはじめた。


ソレガスキッテコトナンダヨ・・

先輩の言葉が

ずっと忘れられなかった
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