【完】キス、kiss…キス!
「むー……悔しいけど、姫さんの言う通り、早苗は綺麗だ」


私の一言に嫉妬の眼差しを向けたナオちゃんだったけど、目線を戻しそう呟く。


カメラマンさんに注文される通りに表情とポーズを取る早苗ちゃんは、とてつもなくキラキラしていた。


「ねぇナオちゃん、どうして早苗ちゃんはモデル辞めちゃったの?あんなに楽しそうなのに」


やっぱり、あんなに楽しそうな早苗ちゃんを見ていると、そこのところ気になっちゃう。


すると、その問いにナオちゃんがへらへらと笑って答えてくれる。


「あいつ、母親が女優のみうらさえこなんだ。そのせいで親の七光りとか言われたのが嫌だったみたいでさ。『俺の方が美形なのにー!』ってね」


みうらさえこって、あの演技派女優の!?スゴすぎる……。でもまぁ、七光りとか言われたら、早苗ちゃんも嫌になるか。


あんなに楽しそうなのに辞めてしまったことに、納得と残念だなぁと思う気持ちが交錯した。
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