【完】キス、kiss…キス!
「あ、そうだ」


そんなナオちゃんに、何か思い付いたのかずいっと寄る幸四郎。


「尚志君、ちょいちょい」


「ん?幸四郎さん何?」


幸四郎はナオちゃんに、ゴニョゴニョと耳打ちで何か話してニッコリ笑う。


ナオちゃんは、それに一瞬頬を赤く染めたけど、スタッフが撮影再開だと呼ぶ声に、再びセットの中に小走りで戻っていく。


撮影が始まり、ナオちゃんは最初は背中のアングルを撮影されていたが『正面向いて』という指示に、ふわりと振り返って、ふにゃあっと可愛く、何処か色っぽい、いつも通りの笑顔をカメラに向けたんだ。


なんか、私にキスした後の笑顔みたい。


ナオちゃん、その顔は二人きりのことを思い出して、非常に心臓に悪いのです。
< 110 / 318 >

この作品をシェア

pagetop