【完】キス、kiss…キス!



7月下旬。ナオちゃんの夏休み開始に合わせて私も有給を消化して、ついに待ちに待った旅行。


全力でからかってきた幸四郎には、絶対土産話すら聞かせてやらないんだから、なんて心に決めて、いざ、二人だけの楽園へ。


駅まで車で行き、そこから新幹線とバスをナオちゃんに着いて行き乗り継ぐ。


予想通り『水着持参』と言われたから新しいビキニを買っちゃった私は、多分引かれるくらいウキウキしてて、浮き足立ってる。


移動すること8時間弱。そこは、海と自然に囲まれた、夏の漂う場所。


「ね?ここどこ?」


「ここはね、天草ってとこだよ」


飛行機で九州の熊本まで出た私達だったけど、熊本って山のイメージだったからこんな場所があるなんて知らなかった。


「親が九州に赴任してて、親の友達が別荘貸してくれるって言うから、遠慮なくね」


漂う潮の香り、さんさんと光り輝く太陽。


「誰もいない、二人だけの空間だね、姫さん」


太陽よりも眩しく輝くナオちゃんの笑顔。


その笑顔が、二人ぼっちの二泊三日を、胸の高鳴りが教えてくれてた。
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