【完】キス、kiss…キス!
私達は別荘……というにはこぢんまりとした小さなお家に荷物を運ぶ。


一戸建ての、広い縁側のある、この風景にあった可愛らしい家。


ナオちゃんは途中で買い込んだ食料を、鼻歌混じりに冷蔵庫へ入れている。


「今日の晩御飯は冷し中華にしよっか?」


「わーい賛成!このロケーションに冷やし中華とか最高!」


なんか、思えばナオちゃんにばっかり料理させてるな、と冷やし中華に浮かれた後にふと思う。


私も出来ないと思われたら悲しいし、そのうち、手料理ご馳走しなきゃね。


「ねぇ姫さん、今から海、行かない?せっかく二人占め出来るし」


細長い背中を眺めていた筈の私の視界いっぱいに、振り向きざまのナオちゃんのキラキラ笑顔がばんと飛び込む。


まっ……眩しい。目にも心臓にも悪いです。


「行く行く!水着に着替えるから先に行っててね!」


私は、バッグからビキニと日焼け止めを取り出して、ウキウキの足取りで洗面所へ走った。
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