【完】キス、kiss…キス!



ナオちゃんがオールを使って船を漕いで行く。


ゆらゆらと海面を進んで行く船は、太陽に反射してキラキラと光を放つ水しぶきを作る。


ナオちゃんのふわふわ天然茶髪が光を吸い込み、いつもとは違う不思議な色を帯びている。


岸が見えなくなって、私の目に映るのは、キラキラと光を放つ紺碧の海と、口元に優しい微笑みを持ったナオちゃんのみ。


「なんか俺、姫さんといるこの瞬間が、全部夢でしたーってオチでも、がっかり反面、だよね、有り得ないくらい幸せだったから夢だよねって納得出来そうな気がするんだよね。それくらい、幸せだなぁ」


ナオちゃんがぽつりと言った言葉は、私の心の中でキラキラ瞬くこの気持ちに同化するよう。
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