【完】キス、kiss…キス!
でも、ね?私はそのナオちゃんの幸福論には賛成しかねます。


「私はそんなの嫌だなぁ。だって、私達のこの瞬間は、全部現実だもん。幸せは嘘でも夢でもないよ」


そう、この時は、この幸せは私達のものなんだから。


私が言うと、ナオちゃんはすうっと瞼を伏せて私を抱き寄せた。


「姫さん、ずっとずっと傍にいてね。俺から離れないでね」


『傍にいる、離さない』じゃないのがなんともナオちゃんらしい。そんな風に思って、ナオちゃんに見えないように微笑んだ。


そして、ギュッとナオちゃんの背中に回してとんとんと叩く。



その温もりと感触を感じながら、改めて、この旅行に来て良かったなぁって心から思えた。


ナオちゃんへの大好きの大きさが、ナオちゃんからの大好きの大きさが、もっと膨大なものだって気付けたからね。
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