【完】キス、kiss…キス!
「来てみたらなんだ、姫子は10歳年下の恋人飼ってるしよー、ババアが知ったら泡噴いて倒れっちまうぞ!」


確かにお母さんは昔から頭が硬くて、しかも自分が茶道の家元の娘だから我が儘。自己チュー。


智は自由にさせてたくせに、私には昔からやたら厳しい。


「そんな横暴、私はぜーったい聞かないから!見合いなんて余計なお世話です!」


「そう言うと思ったから俺も悩んでんだよ!尚志がいようがいまいが、見合いなんか姫子がするわけないだろー……」


お母さんの顔を思い出し、頭を抱える私達。もう、あの人の横暴には言葉さえ出てこない。


沈黙の中、一番甫に口を開いたのは、私でも智でもなく、ナオちゃんだった。


「行こ、姫さんの家に。俺、お母さんに理解して貰えるように、ちゃんと話すよ」


なんて、前向きな子なんだろう。ナオちゃんのこの前向きさに、あのお母さんも動く気がして来るよ。
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