【完】キス、kiss…キス!
ようやくまとめ終えた重たい荷物を抱えて、気が進まないせいかこちらも重たい足で、駐車場へ向かう。


でも、足の重さはともかく、荷物の重さに気づいてくれたのか、ごく自然とナオちゃんは私の荷物を持ってくれた。


「智、これがモテる男の必然的な条件だよ」


そんなナオちゃんを指差して、私は智に嫌味をひとつ落として、鼻でふん、と笑ってみせる。


「ハァン?意味不明、ってかウザー」


「アンタみたいな頭すっからかんじゃ一生分からないよーだ!」


そんな下らないやり取りをしながら駐車場へ降り、私の軽自動車へ乗り込んだ賢はひとりで後部座席をジャックする。


「さぁ、姫子早く車出せ!」


「なんで智が偉そうなのよ!」


私が頬を膨らます、とナオちゃんが隣でつんつんとほっぺを突いた。
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