【完】キス、kiss…キス!
なんともいえない沈黙が流れ、頭をあげれない。


「……何かの冗談かしら?お見合いが嫌な嘘なら、せめてもう少しマシなご冗談を言いなさいな」


「いや、ホントです。広瀬君は、正真正銘、私とお付き合いしている方です」


姫さんが俺に近寄り、この日一番にはっきりとした声でお母さんに向かって言った。


また、なんともいえない沈黙が流れる。時間、止まるならまだしもスロー再生されてますか?


俺はどうしたらいいか分からずそっと下げていた頭を上げてみたんだけど……。


「ちょっ……ババア!?おい!」


お母さん、倒れちゃいました。まるで、お笑いのコントみたいに、そりゃもうひゅーっと。


「……な?俺、ぶっ倒れるって言ったろ?隠し玉の年の差をまだ出してねぇうちにってのは予想外だけど」


言ったけど、マジで倒れられるとは思いませんでした。


広瀬 尚志、16歳。どうやら第一印象は良くなかった、それどころか最悪みたいです。
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