【完】キス、kiss…キス!
「とにかく、姫子さんにはお見合いをしていただきます。決定事項です」


お母さんは言いたいことを言って立ち上がり、美しい立ち振る舞いでさっさと歩いて出て行った。


部屋には、それを黙って見送った三人が残る。


「……なんっなの!あの人、横暴のグレード上がってない!?」


一番最初に口を開いたのは姫さんだ。その声には、怒りと呆れが入り混じり、酷く棘が生えている。


「ババア、何気に俺のことけなしやがった!マジクソババア!」


続いて智さんもキレる。正直、そこはしょうがないんじゃ、とはもちろんこの空気の中では言えないけど。


「ゴメンねナオちゃん。不愉快な気持ちにさせたね」


「いいよ、反対されるのは予想の範囲内だから。ここからが俺の見せどころ!」


そう、これから頑張って認めてもらうんだ。俺が前向きでいなきゃ、この場に希望なんてひとつもなくなってしまう。
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