【完】キス、kiss…キス!
「お母さん、どこに行ったか分かる?」


「多分茶室ね。何かあるとすぐお茶たてるのよ。カシャカシャカシャカシャ。だから、私茶屋は昔から嫌い」


姫さんは、もううんざりと言わんばかりの溜め息。


「じゃあ俺、今からお相手しちゃおうかな!えへへ」


お母さんに何とか取り入る為に立ち上がった俺に、姫さんは心配そう。智さんの方も眉尻を持ち上げて訝しげな表情を取る。


実は俺、おばあちゃんが裏千家のお茶の先生で中学校で茶道部の顧問してるから、少し嗜んでるんだ。


「裏なら大丈夫だけど、表?」


「や、うちは裏千家だ」


智さんの言葉に、自分の運の良さに安心し、ほうと一息つくことが出来た。


息苦しかった空気が、少しだけ酸素量を戻したみたい。
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