【完】キス、kiss…キス!
俺もお母さんがたてたお茶をいただいて、その苦味でなんとか心を鎮める。


抹茶の風味や香りに、上質なものを使われていることがよく分かるし、道具も全ていいものを使用されていて、お母さんのセンスの良さが窺える。


お茶も終わり、なんだかこの神聖な空間が一段と張り詰めてしまう。


「……広瀬さん、何故貴方のような容姿も性格も良い方が、何の取り柄もない、しかも良い年齢の姫子さんなのですか?貴方に見合った相手はいくらでもいるでしょうに」


その重たい空気の中、お母さんから投げかけられた質問。


お母さんは間違っている。姫さんは何の取り柄もなくなんてない。あんなに素敵な人は、世界のどこを探してもいないのに。


「桶川さん、僕は、姫子さんという一人の女性を堪らなく愛しているんです。10歳年上だろうが、そんなの関係ない。そんなもの気にする必要なんかないって、その人を大切に想う気持ちが大事なんだ気付けたんです」


お母さんの質問に、俺は不器用なりにありのままの気持ちをぶつけた。
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