【完】キス、kiss…キス!
バカバカ、鎮め、と自分の不謹慎な心をぎゅっとしまい込み、頭を切り替えて姫さんに思いの丈を、ぶつけた。


「ね、姫さん。俺ね、二人で旅行に行った時、実は父さんや母さんの話を聞いてたんだ。その時改めて、生んでくれてありがとうって感謝した。……言葉にするのは照れ臭いんだけどね?」


本人達がいなくても、こんな話しを誰かにするのは恥ずかしい。でも、世界で一番愛おしい人に、聞いて欲しい、知っていて欲しいと思うんだ。


「姫さんのお母さんだってうちの両親と同じ。姫さんや智さんを誰よりも愛し、一生懸命育てた。だからこそ厳しいし、お金さえあればって考えちゃうんじゃないかな」


俺が言う、足りない言葉のひとつひとつをちゃんと逃さず聞いては頷く姫さん。


「じゃあ、何をしなきゃいけないか、俺に言われなくても分かってるよね?」


「うん……お母さんに、謝る」


ぐすんと鼻を啜って、まだまだ泣き顔だけれども、姫さんはそう強く答えてくれた。


俺の想い、少しでも伝わったかな。
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