【完】キス、kiss…キス!
「姫さん、林檎飴行こ!」


「……ん、行く」


いつも傍にあるこのふにゃあと笑う笑が、夏のキラキラした幻なんじゃないかって思える。それはスゴく、不思議な感覚。


「ひーめさん、どうしたの?人混みキツい?」


「あっ……ゴメン!ぼーっとしちゃってた。えへへ」


しかし、ナオちゃんに声をかけられて、我に返ってナオちゃんに笑顔を返した。


カラン……カランと下駄の独特な音がアスファルトを進む度に響く。


「下駄歩きにくい?もう少し、ゆっくり歩こうか」


私を気遣って優しくふにゃあと笑う顔は、いつもより何割も増して綺麗。


「大丈夫、ありがと」


私が答えると、言葉はないけどまた、優しい笑顔が返って来た。


これだけで、単純な私は幸せに満ちてしまうんです。
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