【完】キス、kiss…キス!
「その勘違いな優しさで、どれだけ姫さんが傷ついてるか、分かんない?分かんないならお前が姫さんの彼氏でいる資格、ないから」


早苗ちゃんは言い切った途端、急速にナオちゃんに詰め寄り、勢い良く拳を振るった。


そのまま馬乗りになって、ナオ ちゃんの胸倉を掴む。


顔は女の子だけどナオちゃんより逞しい体格の早苗ちゃんは、きっとナオちゃんよりもずっと力が強い。


「ダメっ!早苗ちゃん止めて!」


危険を感じ、私は夢中で上に駆け上がり、早苗ちゃんの腕にしがみついた。


「お願い……もう止めてよ」


必死にしがみつく私に、殴りそうになる腕を下ろす早苗ちゃん。


「……今日は、俺が姫さん送ってくから。お前は一人で帰りな」


早苗ちゃんは、座り込んだままのナオちゃんを置いて私の手を取った。
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