【完】キス、kiss…キス!



他校の選手が練習している間、ジャージを羽織った早苗ちゃんが観客席に上がって来た。



「ヤッホー姫さーん!……と、ついでに尚志」


「お前ついでって何だよー、せっかく来たのに」


二人は会ってそうそう、いつもの幼なじみ同士のじゃれ合いを始める。


「早苗ちゃん、泳ぐの綺麗で早いね。びっくりしちゃった」


「まあね。マーメイドの異名は伊達じゃないよ」


ケラケラと笑いながら早苗ちゃんは、悪戯っぽく笑っておまけにウインクまでひとつ落とす。


「そのマーメイド早苗に、姫さん泳ぎ習えば?……ふはっ!」


「ナオちゃん!もー!酷い!」


「何?姫さん泳げない系だったりするの?可愛いんだけどー」


ほら、食いつかれたじゃん!泳ぎ下手くそなんて、これ以上広まったらカッコ悪過ぎるから黙ってて欲しい秘密事項だよ。
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