【完】キス、kiss…キス!
次のバタフライ子も、3位をなんとかキープしてついに、アンカーの早苗ちゃんの番が来た。


「いっけぇ!早苗ぇ!」


普段はそんなに大きな声を出さないナオちゃんの、早苗ちゃんを懸命に応援する大声が響く。


早苗ちゃんはクロールで、何てことないって思わせるようなダイナミックなストロークでビュンビュンと水中を突き進む。


50メートルの地点で一人を楽々と抜き、くるりと体を翻し、そのままターン。


「早苗ちゃん、頑張れ!」


私もナオちゃんや他の観客に負けないくらいに叫ぶ。


でも、流石アンカー。一位の子は物凄く早い。早苗ちゃんが何度抜きにかかっても、それをひらりとかわし、先を行く。


それでも諦めずに猛攻を繰り返す早苗ちゃん。ラストスパートをかけ、その背中を捕まえ、目視の限りでは二人同時に壁にタッチ。


勝敗が決し、勝利の女神が微笑んだのは……。
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