【完】キス、kiss…キス!
「あ……あき、と?」


「おっ!やっぱ姫子だ。お前こんなとこで何やってんの?弟高校生だっけ?」


振り返った先には、あの日、私を最低最悪の形でフった男のその姿。


黄色かかった明るい茶髪に、切れ長のつり上がった瞼。小さな筋のシュッと通った鼻に、色っぽい、薄い唇の下にホクロが搭載された口元。


柳沢秋斗、最低最悪のあの日の主役本人が、私の目の前に立っていた。


そういえば、こいつ、こんな見た目でどっかの高校生で体育教師やってるって言ってたけど、まさか、こんなところでばったり会うなんて。


「お前、まさか俺のストーカーだったり?キモ!」


「はぁ!?バッカじゃない?私今彼氏いんの!超いい男なんだから!あんたと違ってね!」


私が大声で怒鳴ると、バカにしたように秋斗が鼻を鳴らして笑った。
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