【完】キス、kiss…キス!
ボヤーっとしてると、ナオちゃんはふふ、と喉を鳴らして私の額の辺りをポンポンと撫でる。


「ほーら、まだ寝ぼけてるの?」


こりゃまた、きゅうんです。ズルいです。計算ずくですよ。この子どんだけあざと可愛いんですか!


私がナオちゃんの可愛さにやられてへらへらしていると、ふいに後ろに人の気配を感じる。


「おー尚志?……と」


アルトの女の子の声が、その後ろの気配の正体から発せられる。


振り返ると、清掃係の制服を着た、猫目の可愛らしい、長身の女の子が立っている。


この子が、ナオちゃんの幼なじみかな?類は友を呼ぶと言うのか、ナオちゃんと並ぶと絵になるくらいの美少女だ。


「ところで尚志、そっちの人、は?」


女の子は私を、大きな猫目で凝視しながら言う。


んー、予想なんだけど、この子、ナオちゃんを好きなんだろうな、きっと。


じゃなきゃバイト先のチケットあげたりしないもんね。
< 43 / 318 >

この作品をシェア

pagetop