【完】キス、kiss…キス!
入口で受け取ったパンフレットを見つめながら、滲む涙。


私……何こんなに頑張ってるんだろうなぁ。バカみたいって思うと、とてもじゃないけど平常心を保てない。


始まる5分前らしく、館内は更に暗くなる。


その時、私の鞄が浮いて、隣に人が来た気配を感じた。


「姫さん、ゴメンね。俺が、悪いんだよね」


隣に座ったナオちゃんの低い声が、いつもみたいにきゅうんと心臓に染み渡る。


ナオちゃんが謝ることないのに。私が勝手にヤキモチ焼いて、良くない態度取ったのに。


申し訳ない気持ちが渦巻くモヤモヤな心のまま、いつの間にか始まったプラネタリウム。


あんなに楽しみだったのに、この空間には気まずさしかなくて、自分のバカさ加減に、情けなささえ滲んでしまう。


ホントにバカだ。私は。
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