【完】キス、kiss…キス!
「ね?姫さん、聞こえてる?」


沈黙を破ったのは、ナオちゃんの私を呼ぶひそひそ声。


「俺はね、姫さんが思ってる以上に、姫さんを大好きなんだよ?」


そのひそひそ声で耳元で囁かれる言葉の甘さに、凄くドキドキして止まらない。


座席の手摺りに重なる指と指。ナオちゃんが、私の手を力強く握って指を絡める。


「どうやったら、姫さんに俺の気持ち伝わるの?今のままじゃ、何が足りないの、かなぁ?」


その声が微かに震えてるのが分かって、私は暗がりの中、俯いてた顔をナオちゃんに向けた。


「……やっと俺のこと、ちゃんと見てくれた」


私の目とナオちゃんの目がバチっと合うと、ナオちゃんは、そんなズルい言葉と共に、ふにゃあと張り詰めた表情を綻ばすんだ。
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