【完】キス、kiss…キス!
とんだ勘違いだよ……。デートのムード最悪にするし、早苗ちゃんにも相当失礼だ。


「ゴメン!嫌だったよね、ホントゴメン」


申し訳無さ過ぎて、何度も何度も頭を下げると、頭上からコロコロと笑い声が聞こえてくる。


「大丈夫、慣れてるからさ!それに、女顔ってわりとモテて重宝するんだよ?」


なんて、仏様みたいな言葉と共に笑った早苗ちゃんの顔は、まるで子猫ちゃん。


これはこれで眩しいです。確かに、こんな男の子モテないわけがないですよね。


「姫さぁん?なに早苗にデレデレしてんの?」


「し……してないしてない!……多分」


否定しようにも、やっぱり隣で笑う早苗ちゃんが可愛くて言葉を濁すと、ナオちゃんは頬が破裂しそうなくらいに膨らます。


あれ?もしかして、今度はナオちゃんが嫉妬してる?何このあざと可愛さ。キュンキュンなんですが。


「姫さん、尚志に飽きたら俺んとこおいで」


「さぁーなぁーえぇぇ!お、ま、え!」


冗談混じりに私を口説く早苗ちゃんに、本気で飛びかかっていくナオちゃん。


じゃれる二人は超可愛いし、目の保養になる。やっぱり、若いっていいなぁ、なんて思ってしまうのです。
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