【完】キス、kiss…キス!
不覚にも、綺麗だと、そう思ってしまった。
街灯に照らされた女の人は、白く滑らかな肌、黒に近いモダンブラウンのストレートな髪の毛。見下ろしてる角度から見る小さくぷっくりとした唇に、キュッと引き締まった足首を持った、綺麗な年上の女の人。
……俺、めっちゃめちゃドキドキしてるんだけど。スッゴい酔っ払い相手に。
「あれれ?君、だぁれだ?」
酔っ払った女の人は、俺に向かってへらりへらりと笑いかける。
この人、笑うと、綺麗から可愛いに化けるタイプだ。……俺のドストライク。綺麗と可愛いを両方兼ね備えてるなんて、最強じゃん?
「貴方は、誰ですか?」
「私はねぇ!ひーめ!おけがわぁ!ひめこ、だよ!」
アルコールのせいでトロンとした瞳が、きゅっと孤を描いて目頭に少しだけシワを寄せる。
その笑顔に心臓が、ぎゅうって窮屈そうにすぼんでしまった。