【完】キス、kiss…キス!



とりあえず簡単に朝食を作り、コーヒーを沸かす。


リビングのテーブルで待つ彼をチラリと一瞥して、私は心に言い聞かす。落ち着け、姫子。


「砂糖、いる?」


大人の余裕を漂わせつつ尋ねると、彼はニッコリ首を横に振った。


黄色のパーカにダボダボのジーパンの、ラフな服装の彼。


どう見積もったって大学生、だよね?


彼が大学4年生だったとしても、4歳は年下だということになる。


今まで同級生と年上としか付き合ったことは無いし、社会人になった私にとって、大学生の男の子なんて住む世界が違いすぎるのに。


どうやら私は、泥酔すると見境無くなるらしい。やらかしてるにも程がある。


昨日の自分にへこみつつ、テーブルに朝食とコーヒーを並べる。


私が向かい側に座ると、頬杖を付いてた彼が手を合わせ『いただきます!』と元気良くお箸を握った。


その姿は絶対自分の可愛さを分かっていないと出来ないくらいに完成された可愛さだ。
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