【完】キス、kiss…キス!
子犬ちゃんの頭ん中
俺の計画通りに、姫さんと晴れて恋人になって、更に合鍵までゲットして、幸せ絶頂の俺。
広瀬尚志、16歳。今の悩みは10歳年上の素敵な彼女に『あざと可愛い』と言われてしまうことです。
今日だって、姫さんのうちから自分のうちに帰る前にバイバイのちゅーしてニッコリ笑ったら、あざといだの可愛いだのズルいだの言ってくるし。
「ねー早苗、あざと可愛いって何?」
困った時に相談出来るのは、中学生の時から年上の女の子と遊びまくってる幼なじみしかいない。
昼休みの学食、長めのショートカットを耳にかけてうどんを啜る早苗に聞くと、早苗は箸を止めてニンマリ笑った。
「いやぁ、俺とか尚志みたいな計算ずくの奴のことでしょ?」
返ってきた返事は『何言ってんの』みたいな心の声を含んだ、そんな言葉だった。
「だって、尚志どのタイミングで笑ったりうるうるしたり甘えればいいか、何となく考えてるっしょ?俺はそうだけど」
その通りですけど、それを認めてしまう早苗の男らしさには尊敬してしまう。