【完】キス、kiss…キス!
「ね、君、名前は?」


私は意を決して、彼に名前から聞いてみる。


「あはは!ホントに何にも覚えてないんだね?ここまで来ると気持ちいいや。俺は広瀬尚志。姫さんは桶川姫子さんでしょ?」


可愛く首を傾げた彼はまたふにゃあっと笑い、沸かしたコーヒーを口に運ぶ。


ああ……この子、ホントにダックスフントの子犬みたい。


ベビーフェイスがキラキラ。キラキラ過ぎて、じっくり観察する暇さえ与えてくれない。


「あ、ちなみにねー姫さん、昨日俺のことナオちゃんって呼んでたよ!」


「な……ナオちゃん、ですか」


っておい、酔っ払いの私!完全にフレンドリーになってるし!


「で?年は?学校は?」


聞きたいことをドドドドーっとマシンガンのように並べ立てた私は、聞いたのは自分のくせに目線を外して時計を見やる。


今の時刻は、午前8時を過ぎたところ。
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