紅狼王子





それらは全てあたしの本音だった。


あたしは愛されてる。


「でも、カズマはあたしを愛してるって言ってくれた。それって愛されてるでしょ?」


バンっと大きな音がして、扉の方を見ると、険しい顔をした杏子が立っていた。


「あいつはあんたを愛してなんかない!!」


「キョウコ」


喚く杏子をなだめるように男が言った。


でも杏子は、お構いなしにわめき続ける。


「あいつはあんたを愛してない!!」


「キョウコ」


「愛してない!!!」


「キョウコ!!!」


赤い髪の男の声に、杏子が一瞬怯んだけど、また負けじと口を開いた。
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