紅狼王子
「ありがと」
杏子はあたしの手を握った。
「ヒドいこといってごめんね。」
わかってるから、いーよ。
杏子はこれ以上、カズマに振り回されるのを見たくなかったんだと思う。
「杏子、大好き」
「あたしもだよ、レイ」
きっと杏子があたしのことをレイと呼んだのは、あたしのことを仲間だって思ってくれたからだと思う。
「アキラとキョウヘイとは幼なじみなの。だから、あたしもあの倉庫に通ってるんだ」
「杏子が?」
「うん。あ、レイ、家着いたよ。」
「あ、ありがとう・・・アキラさんと運転手さん」