紅狼王子





黒い車が去るのを見送った後、あたしは家に入った。


小さなアパートの二階にある一部屋を借りている。


お母さんが死んで、お父さんが刑務所に行ってから、両親の祖父母や親戚が哀れに思って、月に何万か仕送りしてくれている。


でも、あたしはできる限りそのお金を使いたくない。


だから、なるべく毎日バイトを入れてる。


部屋に入って電気を付ける。


なんて殺風景な部屋。


あるのは、小さな冷蔵庫と洗濯機と掃除機、テレビ、ソファーベッドくらいだ。


あとは必要ない。
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