紅狼王子





朝起きると、あたしは似合わないメイクをする。


ラインをまぶたの上にひけるだけかいて、つけまつげをする。


この数週間は、カズマに似合う女になるために、必死だった。


でも今日からは違う。


あたしは昨日、カズマの愛人というポジションを自分から、放棄した。


だから、今日は軽くラインをひく。


お気に入りのリップを少し塗って、あたしは家をでた。


重くない。


目も、体も、心も。
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