紅狼王子





こいつもなのかな。


素のあたしじゃあ、認めてもらえない。


あたしはまた化粧をして、重い自分を自分と追い込まなくちゃいけない。


「似合ってんぞ」


──どうして?


「俺はこっちのレイのが可愛くて好きだぞ」


こいつは、あたしを救うようなことばかり言うんだろうか。


もしかしたら、嘘かもしれない。


言い慣れた台詞で、こいつはなんとも思ってないかもしれない。


例えそうであっても、なぜか嬉しい。


「乗れ」


そう言って、自分のヘルメットをあたしに被せた。
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