紅狼王子





はじめのうち、部屋には時計の音しかしなかった。


いつの間にか鳴りだしたあたしの携帯は鳴り止まなかなった。


鳴り止まない音に、頭がおかしくなりそうだった。


でもその音も、深夜0時を回ると、諦めたかのように鳴り止んだ。


キョウヘイとあたしの関係、約7時間分。


他の男に比べたら、意外と長いのかもしれない。


カズマよりは長かったし、それはそれでよかったんじゃないかと思う。


とりあえず落ち着いて、あたしが寝ようと決心し、布団に潜り込んだとき、もう一度携帯が鳴った。


あたしは静かに手を伸ばし、メールを開いてみる。
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