紅狼王子
ベッドから飛び出してあたしは急いで玄関を開けた。
期待していた。
キョウヘイは他の男と違うって。
階段に座っている、キョウヘイ。
こっちをゆっくりと振り返ってからため息を漏らした。
「ばか」
そう言われて引き寄せられそうになる。
あたしは急いでその手を払った。
だめ、自分にブレーキをかける。
「彼女いる・・・」
「・・・不本意ではあるがな」
「あたしは何?」
「お前は俺のだろ、レイ」
「じゃあ、キョウヘイは誰のもの?」
「さぁな。でも今はおまえのもんだろ」