シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
 暴動にまで発展するほどの力を一人の少女が抑えられるはずもない。それでも彼女は悔やんでいた。


「あなたは彼とどういう関係だったのですか?」


 館長は答えない。意地でも答えを聞こうとルシアが詰め寄ろうとするがシェイクがそれを阻んだ。


「ルシア。もう関係ないことだ」


 そう言ってシェイクは館長に一礼して車に乗ろうとしたが、止められる。


「あなたは何も言わないのね。自分が知ってることは他の人も知ってるのよ。シェイクさん。そしてこの事件の解決者……」


「やっぱ気づいていたか……。そしてここで働いていたとはな」


「あなたはどうしたの?ようやくこの国に落ち着くために来たの?」


 シェイクは一度館長を睨んでいるルシアを見て、


「そんなつもりはないよ。俺はまた旅に出る。たまたま近くを通っただけだ」


「なら、お父様の家に寄ってください。あなたがいなくなってからすっかり弱ってしまっています」


「もう……、俺には関係ないことだ。俺はなにも守れなかった男だ。だから俺はこの国を出たんだ」


「でも!」


「俺はもうこの国の人間じゃない。それだけだ」


 そう言うとシェイクはルシアを引っ張りながら車に乗り込み学校を後にした。館長はその車が見えなくなるまで見続けていた。
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