シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
『――あなたは……ですか?』
何かが聞こえた。先程のようなものではなく、明らかに誰かが何か言っているのが聞こえた。女性のような声だがここは男子トイレで、女性の姿などあるはずがない。
『――それであなたは満足……』
また聞こえた。今度は先程よりも鮮明に聞こえた。シェイクは銃を一旦下ろし辺りに誰かいないか確認する。ふらふらした足取りで廊下を見るが誰も歩いていない。
「気のせいじゃ……ないよな」
頭に残る声だった。その声はどこかで聞いたことのあるような声だった。しかし、シェイクにはその声の主が分からない。どこかから女性の声が聞こえるのはとても不気味な話だが、シェイクは不思議と不気味という感じはしなかった。
「それであなたは満足ですか……か」
シェイクはもう一度鏡越しに自分の顔を見る。そして両手で自分の頬を三度打ちつける。痛みがゆっくりと伝わって来る。叩かれた跡が赤くなって浮かんでくる。
「行かなくちゃ……な」
シェイクはもう一度だけ自分の頬を叩いた。乾いた音が廊下に響いた。そしてトイレから出てくる。先程までの弱々しい足取りではない、自信というのかその足取りは力強い。
――――俺がここに戻ってきた理由はここで打ちひしがれに来たんじゃない。すべてを受け入れるために戻ってきたんだ。
シェイクははやる気持ちを抑えてルシア達に追い付こうとする。見慣れた廊下を順路の通りに従って向かっていく。
何かが聞こえた。先程のようなものではなく、明らかに誰かが何か言っているのが聞こえた。女性のような声だがここは男子トイレで、女性の姿などあるはずがない。
『――それであなたは満足……』
また聞こえた。今度は先程よりも鮮明に聞こえた。シェイクは銃を一旦下ろし辺りに誰かいないか確認する。ふらふらした足取りで廊下を見るが誰も歩いていない。
「気のせいじゃ……ないよな」
頭に残る声だった。その声はどこかで聞いたことのあるような声だった。しかし、シェイクにはその声の主が分からない。どこかから女性の声が聞こえるのはとても不気味な話だが、シェイクは不思議と不気味という感じはしなかった。
「それであなたは満足ですか……か」
シェイクはもう一度鏡越しに自分の顔を見る。そして両手で自分の頬を三度打ちつける。痛みがゆっくりと伝わって来る。叩かれた跡が赤くなって浮かんでくる。
「行かなくちゃ……な」
シェイクはもう一度だけ自分の頬を叩いた。乾いた音が廊下に響いた。そしてトイレから出てくる。先程までの弱々しい足取りではない、自信というのかその足取りは力強い。
――――俺がここに戻ってきた理由はここで打ちひしがれに来たんじゃない。すべてを受け入れるために戻ってきたんだ。
シェイクははやる気持ちを抑えてルシア達に追い付こうとする。見慣れた廊下を順路の通りに従って向かっていく。