桜舞~ひらり~
そのCDが、今、
アタシの所にだけ帰ってきた意味が、
直樹の言葉よりも解りやすかった。




直樹『送るよ。』


ひらり『いい!

…大丈夫だから。』



少し冷たかった気がしたから、
すぐに言い直したけれど、

きっと、優しさなんかじゃなくて、
最後まで、自分を良く見せたいと
思っただけだった。




直樹『気をつけろよ。』


ひらり『うん。・・・じゃ』




“それだけの為に来たの?”





アタシは心の中で、また直樹を責めた。

直樹が背中を向けると同時に、
アタシもその場から離れた。


1つ先の街灯を見つめながら
何事もなかった様に

ただ、ただ進んだ。




すれ違う人が、
アタシの涙に気付かない様に。





ちゃんと別れる為に直樹は会いにきた。

ホントに終わっちゃったんだと
理解すればするほど
歩けなくなった。




“期待なんかするから・・・”




それでも、
手にしているCDを離せずにいた。






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