桜舞~ひらり~

そこには、今日の主役が立っていた。



ひらり「あ!勝村さん!」

「ゴメンナサイ。勝手に入って。。。」



人がいた事にも驚いたけど、
それが勝村さんである事の方が
ビックリしていた。

けど、何故だか少しだけ、
嬉しいという感情もあった。



勝村「捜し物はこれ?」


ストラップがジャラジャラと付いた
アタシの携帯をオモチャの様に扱っていた。

ひらり
「あーー!あったーーー!
それ!それ!アタシの!!!」

「アタシの携帯です!良かったぁー!
探してたんです!!!!
もぉーどうしようかと思って!!良かった!」



勝村 「ハハハ。そこに落ちてたよ」

「それにしても興奮しすぎね(笑)」



ひらり「すみません。嬉しくて!!」



勝村「はい。」



微笑みながら、携帯を渡してくれた。



勝村「見に来てくれたんだね。」


ひらり「あ、あの社長が。。。」


勝村「ありがとう。嬉しいよ。」



そう言って、勝村さんはステージまで
ゆっくりと歩き、花道へ向かった。


両手を後ろへ付き、
足を軽く曲げる様にして
黙ったままスクリーンを見上げて、
ただ座っていた。


勝村さんは、何を話す訳でもなく、
アタシの存在すら
気にもしていない様子だった。



でも、その背中が、
なんだか悲しげに見えたのは

何故だろう?

アタシは、いつまでも、
その背中を見つめていた。



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