桜舞~ひらり~
すごく優しい勝村さんの表情を
見て安心した。

途端に我に返り、
必死な自分が恥ずかしくなった。


ひらり「なんか、スミマセン。」

「何が言いたかったんだか、
結局、解んなかったし(苦笑)」


恥ずかしさを誤魔化すように笑った。




すると、会場のドアが開き


「いたいた!
次郎さんそろそろ行きますよ。」


スタッフらしき人が声を掛けた。


勝村「あ、ゴメン。了解」
軽く右手を挙げて、返事をした。




少しの沈黙の後、勝村さんが話し始めた。


勝村「俺ね、スッゲー疲れた時とか、
飯食うのも面倒な時とか、
そういう時に、何故か、
ひらりちゃんの事思い出すんだよ。」

「飯食ってるかな~とか、
笑ってるかな~とか」


そう言って、勝村さんは小さく笑った。
アタシも困ったように小さく笑ってみせた。




勝村「ひらりちゃんってさ、
スッゲー美味そうに食べるじゃん?」


ひらり「え?」


勝村「それ見たら、なんか
幸せな気分になるんだよね~」


「それだけで、満たされちゃう感じ。」


ひらり「は~・・・」


勝村「ハハハ。
俺もよく解んない事言ってるね」




ひらり「アハハ。
今日はお互い可笑しいですね」



勝村「アハハハ」








あの背中を見た時、少し胸が苦しくなった。
輝きを取り戻して欲しくって、
ずっと願っていた。




“アタシの力を分けてあげる”




あなたから貰った、優しさと
魅せてくれたあなたへ、少しのお礼。
アタシに立ち上がる力をくれたあなたへ。







“歩もう”




そう決めた。




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