グラウンド･０

そう言うと、右手を悠斗に差し出した。玲香は自信のある表情で笑みを浮かべた。

すると、今まで沈黙保っていた悠斗が閉ざしていた口を開く。一度、深く瞬き（まばたき）をし、

『……興味ない。…帰ってくれ…』

冷めた小さい声でそれだけ言うと、悠斗は棚へ向き直し別の雑誌を探そうとする。

その言葉に、玲香は奪い取った雑誌のあるページを開き悠斗に見せる。

『…この生死病に感染した人々を、…この世界を見捨てるの?!…』

雑誌を持つ玲香の両手に力が入っているためか、跡が残るぐらい強く握っている。表情も真剣だ。