KISSKISS


その手を止めてドアを睨む。


…―コンコン


「……」


ノックする音を無視して急いでイヤホンを耳にする。

…―コンコン


またノックしてる…


それでも聞こえないフリをして雑誌を読み始めた。


「入るよ?」


「…何か?」


無表情で悠斗さんに尋ねる。


「うるさいんだよ、怒りをぶつけるのはいいけど静かにしてね?」


「……っ」


いちいちムカつく…


わなわなと震える手を何とか抑えて雑誌に視線を戻した。


「…まだ何かあんの?」


「それから…スイッチ入れないと音楽は聞けないよ?」


耳に指を差す仕草を見せると不敵な笑みを浮かべてドアを閉めた。



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