KISSKISS


その日の夜、アイツの熱は下がった。


「お前のおかげだよ」


って頭を撫でてくれた。


大きくて優しい手…


その手は、あたしだけの物にはならないんだね?


―…切ないなぁ、切ない。


「あぁ!!お粥、まだあるから食べる?」


「…いらねぇ」


熱は下がったはずなのに、そう言ったアイツの顔は真っ青になっていた。


―…なんでだろ?



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