男 友 達
佐々木君の言葉に、涙腺が緩む。
「ごめん…ごめんなさい…」
「アイツのせいで泣くの?高瀬は他の人が好きなんだよ?
葵ちゃんの事、好きじゃないんだよ?」
佐々木君が少し声を荒げる。
「そんな顔、しないでよ」
急に目の前が暗くなって、佐々木君は私を抱きしめた。
「…苦しそうな顔、見てられないんだ」
両手に力がこもる。
佐々木君のぬくもりが伝わってきて、
思わず彼にすがりたくなった。
でも、違う。
この人は、ケンタじゃないんだ。
たどり着くのはただ、この気持ち。
「…私、ケンタが好きなの…」