「姉さんに褒められる日は、ろくなことが無いからね。」

『失礼だな。』


規則正しく階段を降りていく海に続いて、リズミカルに階段を降りる。


『はぁ、あの可愛かった海はどこに行ってしまったのかしら。』

「くだらないこと言ってないで、早く髪なんとかしたら?」


鞄を椅子の上に置き、スタスタと洗面台に行く。


『分かってるわよ。』


あたしも同じように、洗面台に行って、櫛とドライヤーを使い、寝癖を直す。

今日は、どのゴムにしようかと、箱を開ける。


「これ。」


歯磨きと洗顔を終えた海が、1つ取り出した。

透き通るような綺麗な青の、花飾りの付いたもの。


『へえー。あんた、こういうの好きなの?』

「ま、青は基本ね」


答えながらも、洗面台を空けてくれる。髪を結い上げ、ポニーテールにする。

歯磨きと洗顔を済ませ、等身大の鏡で、最終確認。


『ん、今日もばっちし』


鞄を取り、靴を履く。
隣には、海もいる。

玄関の扉を開け、振り返るとお父さんとお母さんが、見送りに立っていた。


「いってらっしゃい」

『いってきます!』


笑顔で言葉を交わし、元気良く学校に向かう。





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