光
後ろを振り返ってみると、男の子が壁に寄り掛かっていた。
「へぇー。なかなかのイケメン君じゃないッスか」
あかりの言う通り、綺麗な顔立ちをしている。ここからは横顔しか見えないが、さぞかしモテるだろう。
『てか、誰?』
「知らん。初めて見る顔だ。」
あのあかりが知らないのだから、一般女子生徒のあたしが知っている筈もない。
「ちょっと、その言い方は、あたしが一般じゃないって意味じゃないか。」
『一般ではないでしょうね。』
だって、あかりの通り名は、"裏"ですから。
全ての情報を、いとも簡単に手に入れてくる。この子に情報を隠したって無駄なのだ。
「よし、ちょっくら、調べてみるか。」
そう言って、あたしを置いて、走り去ってしまった。
「あの」
呆然と見送ったあたしに、遠慮がちに声がかけられた。
振り返れば、先程の男の子がいた。背は170後半と言ったところか。
「俺、転入生なんスけど、職員室どこですか?」
確かに、イケメンに属する顔立ちだ。端正な顔に明るい茶髪が、よく似合う。
『職員室は、あっちですよ。』
あたしが向かう方向と、逆の道を指す。
『真っ直ぐ行けば、階段がありますから、それで2階に行って、目の前が職員室です。』