光
ひとしきり驚いた後は、クラス中を巻き込んで、正体不明の男の子は、転入生なんだと教えた。
「そうなんだ。」
「あーあ、あたしもその場にいれば良かったな〜。」
紗知はあまり興味がないのか、やはり窓際から離れない。
あかりに至っては、屈辱だの何だのと吠えている。いい加減黙らせないと、近所迷惑になってしまう。
「よく、道案内出来たね」
『薫ー、それ褒めてなーい!』
くすくすと笑う薫は、本当におとなしい。でも、自分の意見は、しっかり伝えてくるのだから、強いと思う。
『大体ね、皆、あたしのこと貶しすぎなんだよ!』
「貶してないから」
紗知がきっぱりと、あたしの発言を否定した。紗知に言われると、ついつい素直に受け入れてしまう。
「正体不明の男の子の正体も分かったし、今度は先生の話しよーよ!」
やっと落ち着いたと思ったのに、歩が提案したから、また騒がしくなった。
「それなら、任せろ!」
あかりも復活して、新任の情報をばらまいている。
あかりの情報によると、新任は男らしい。それを聞いただけで、男子はテンションが下がり、女子はテンションが上がる。
あたしは、下がる方だ。
女の先生が良かったなー。
紗知と薫は、どっちでもいいよ。という顔をしている。