ひとしきり驚いた後は、クラス中を巻き込んで、正体不明の男の子は、転入生なんだと教えた。


「そうなんだ。」

「あーあ、あたしもその場にいれば良かったな〜。」


紗知はあまり興味がないのか、やはり窓際から離れない。

あかりに至っては、屈辱だの何だのと吠えている。いい加減黙らせないと、近所迷惑になってしまう。


「よく、道案内出来たね」

『薫ー、それ褒めてなーい!』


くすくすと笑う薫は、本当におとなしい。でも、自分の意見は、しっかり伝えてくるのだから、強いと思う。


『大体ね、皆、あたしのこと貶しすぎなんだよ!』

「貶してないから」


紗知がきっぱりと、あたしの発言を否定した。紗知に言われると、ついつい素直に受け入れてしまう。


「正体不明の男の子の正体も分かったし、今度は先生の話しよーよ!」


やっと落ち着いたと思ったのに、歩が提案したから、また騒がしくなった。


「それなら、任せろ!」


あかりも復活して、新任の情報をばらまいている。

あかりの情報によると、新任は男らしい。それを聞いただけで、男子はテンションが下がり、女子はテンションが上がる。

あたしは、下がる方だ。
女の先生が良かったなー。

紗知と薫は、どっちでもいいよ。という顔をしている。





< 14 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop